滋味まろやか、一葉ひと葉に心をこめて
(やぶ北・深むし製法・荒茶火入)

うまいは、谷本陽蔵著「お茶のある暮らし」に共感し作り上げた商品です。

“おいしいお茶を飲むために”より

婦人会の集まりなどで、決まって質問されるものに、どんなお茶を買えばいいのか、どのくらいの値ごろのお茶が経済的でおいしく飲めるのかというものがある。
そんなとき、私がお茶を求めるとしたら、ふだん飲むお茶は百グラム千円ぐらいの荒茶(煎茶製)とお答えしている。四月末から五月上旬にかけて製造される一番茶のうちで、値打ちがあって仕入れできるのが、この級のお茶で、生産量も比較的多く、そのなかから格安でよい実質のお茶が選べるからである。

荒茶とは、農家で製造した加工されない前の粗製茶をいう。つまり製品になる前の原料茶のことを玄人筋は荒茶と呼んでいる。そんな荒茶から粉を取り除いたり、お茶に混じっている白い茎や葉軸を選別して、見た目に美しくしたお茶が煎茶と呼ばれる仕上げ茶なのである。
ついでに玉露製の荒茶から出た白い茎や軸は、俗に雁ケ音(白折れともいう)と呼んでいる。純玉露の雁ケ音は量的にも少なく、お茶通のあいだで珍重されるほど価値のあるものだ。荒茶を加工して見た目に美しく付加価値を高めても、お茶そのものにちがいがわかるほどおいしくなるというものでもない。むしろ白い軸や多少の粉が混じった新鮮なままの、作り立てのような荒茶のほうが山の香りがして渋味が少なく、マイルドな味わいがあって現代向きかもしれない。
いまの人は、苦渋味のない喉ごしのさらっとした煎茶を好む傾向があるからだ。それに加工した煎茶より手間のいらないだけコストが安くなるわけだ。結局百グラム千三百円ぐらいの煎茶と千円の荒茶が釣り合うことになる。


50グラムチャック付袋650円


みどりへの想い